吾輩はエビチリ天使である 一話

  吾輩はエビチリ天使である。

  名前は大好きなこまりちゃんが付けてくれた。

  いつも優しいこまりちゃん。しかし、こまりちゃんにはある秘密があったのだ...!!

  私はこまりちゃんに拾われた。

  あの日はひどく寒い日だった。

  いつもは食べ物を探して歩き回っているが、あの日はそんなどころではないほど、寒く動くことも憚られた。

  一日ぐらい食べなくても死にはしないが、寒さでどんどん体力が奪われていった。

  寝ようかと目をつぶろうとした時にこまりちゃんは現れた。

  「にゃー、ねこちゃん生きてるかー?」

  えらく失礼なことを言われ、私は腹立ちながら顔を上げた。

  10代後半ほどの人間のメスだった。顔はそれなりに可愛いというのがこまりちゃんを初めて見た時に思ったことだ。

  「おお、生きてる」

  そりゃ生きてるよと思いつつもにゃーと一応鳴く。飯をくれと言ったつもりだが人間にはわかるとは思えなかった。

  「猫ちゃん大丈夫? 食べるものとかある? 野良ちゃんっぽいからいけそうだけど」

  野良でも食べ物がないときもあるし、それにあの時は体力もほとんどなくてこまりちゃんの言葉にすぐに反応した。

  「にゃー」

  飯はない、飯をくれ。

  「猫ちゃん、ご飯なさそうだね。家来る?」

  この時最初で最後だがこまりちゃんが天使に見えた。

  「にゃー」

  行かせてくれ。飯が食べたい。

  「いいよー。可愛い猫ちゃんだね。ぐふふふ」

  最後の一言は空耳だとあの時は思ったが、空耳ではなかったよいうことを今は知っている。

  「うん、じゃあ行こうか」

  こまりちゃんは私を抱き上げてスタスタと歩き始め、五分程でこまりちゃんの家であろうという場所についたのだった。

  こまりちゃんの家には3人の人間がいた。母・父・姉がいた。

  最初は不審がられたが、今では仲良しだ。

  これがこまりちゃんとの出会いの話――――