吾輩はエビチリ天使である 三話

 「唐揚げ全部抜きはひどいよねー」

 こまりちゃんはまだ晩ご飯で唐揚げを全部抜かれたことを言っている。まったくしつこいな。しかもこまりちゃんがあんなに声をあげるから悪いんだ。

 「にゃー」

 もういいじゃないか。諦めろこまりちゃん。

 『こちらが一番人気の唐揚げです』

 テレビからそんな声が聞こえてきた。げえ、唐揚げか...

 「テレビまで唐揚げなんていじめだよ...。あああああ、唐揚げ!!」

 もうこまりちゃんうるさいよ!

 「フーーーッ」

 思わず、威嚇の声を出してしまった。

 「あああ、エビチリ天使ごめんね? 怒った?」

 わかればいいんだ。

 「うーん、次は親に使ってみるか...」

 何を言ってるんだ? こまりちゃんは。何を使うんだ?

 「エビチリ天使!! 目薬で涙目になるんだよ。知ってた!?」

 ん? ちょっと待て。今目薬で涙目になるって言った? こまりちゃん。言ったよね? 目薬で涙目になるって!! 

 私はさっきのことを思い出す。あ、やっぱりこまりちゃん後ろ向いてる。その後振り向いた時涙目だったよね...。

 「フーーーッ。シャーーーー」

 こまりちゃん!! さっきの涙目は目薬だったのね! 目薬を差して涙目にしたんだね! 

 同情して唐揚げ取ってきた私がバカでした! もう信じらない。

 「エビチリ天使、どうしたの? なんで怒ってるのですか?」

 こまりちゃん、バカなの!? こまりちゃん!! 自分でネタばれしておいて、それがわからないなんて。こまりちゃんは本当にバカだ。バカバカバカバカ! もう引っかいてやろうか。

 「?? エビチリ天使? なぜに怒ってるぞよ?」

 もう知らない! そんなバカなこまりちゃんなんてもう知らない!! もう次からは絶対に同情なんてしないんだから。

 「ハッッ! まさか、さっきの涙目のネタばれをしてしまった...!?」 

 そうだよ、こまりちゃんやっと気づいたか。

 「言わなきゃよかった。くっ」

 今更悔やんでも遅いよ、こまりちゃん。

 私は、もうこまりちゃんにはだまされないと心に誓ったのであった。